「ショートボードに乗らないのですか?」
そんなことを最近良く聞かれる。
しっかりと乗っています。
ただ職業柄さまざまなボードを持っているのと、
どんなボードでもどんな波でも楽しくサーフしたい、
というのがテーマとなってきた。
私の10代、20代、
そして30代とショートボード命だったので、
サンオノフレの膝波でもショートボードに乗ることはできる。
ただあの波質にレイルを入れると、
抵抗を受けて強制プルアウトさせられてしまうほどか弱い波壁。
ということで、
ふわりと乗るだけのショートボードはちょっぴりつまらない。
ささやかな斜面は、
大きめのボードで駆け下った方が楽しい。
カリフォルニアはそんな波質が多い。
波が出る予想を聞くと、
「ショートボード」に乗る自分を想い描く。
硬い斜面にノーズを落として加速していく。
ショートボードはその加速性能、
動力性能、操作性能といった“サーフボード”の機能において、
世界中で主流となっているデザインであります。
その浮力とレイルの薄さから簡単にターンすることができ、
しかも中級者からプロまでは、
このカテゴリーのマジックボードが欲しいのだろう。
Cole Fire Blade 5’7″ Channel Bottom
ショートボードの欠点はボード浮力がないことで、
前出したように波が小さいときや、
初心者に乗るのは厳しいことだろうか。
そこで浮力を増やしたりするのだが、
あまり増やすとショートボードの機敏さが失われる。
ダックダイブ(ドルフィンスルー)もしづらくなる。
テイクオフには浮力が足りないが、
ひとたび乗ると、「余分な浮き」がないので、
操作性が高いというのも人気の原因なのだろう。
そこで「浮き」を最大限、
しかも浮きすぎないようにと調整することは可能だ。
私の仕事は、
サーフボードのプロデューサーでもあるので、
COLEをはじめとする各シェイパーにこういうボードが欲しい、
と伝えてきて、今年でちょうど20年となる。
じつは今前出したCOLEにカーブボール、
そしてライトニングキッカーに次ぐ、
ショートボードの新作をお願いしている。
これは、
シングルコンケイブモデルを基調として、
ボトムをVEEやインナーコンケイブでいじり、
常時波の中にあるテイルブロックを少し大きく、
そして厚みを出して、
ダブルウイングというところまで青写真はやってきている。
カスタムオーダーみたいなものだが、
カスタムモデルオーダーであります。
ただ、製品とするには実績がない。
その起伏やフォルムの組み合わせで最適を求めているが、
それが表現できているかどうかは見た目だけではわからない。
そこでファクトリーライダーやシェイパー自身、
または私のようなサーファーが乗ってテストするわけです。
もしも一本目からGoが出たとしても、
マイナーなる些細な変更は随時行われていて、
そこにはサーフボードシェイパーたちの長い間培ってきた感覚、
乗り手であるサーファーたちのフィードバックや、
ユーザーからの要望もサーフボードに入れこんでいく。
http://youtu.be/lkebfn42ZLY?list=UUL7_8TwMYxjd1Pc72u8iS7w
Cole Lightning Kicker 5’7″【動画】
ライアン・イングルのニューモデルはもっとすごい。
彼は世界中のマジックボードのアウトラインを持っているのだが、
それだけを組み合わせて、
「サーフボードのフォルムではないサーフボードを作る」
という無心の、新型モデルを作ろうとしているのが、
新進気鋭シェイパーのあるべき姿ではなかろうか。
もしかするとこんなフォルムになるのでしょうか?
Cole HPS 5’10″
ショートボードにはフィット感がある。
というのは、
波のサイズが上がって、
際どい場所で限界近いターンをしているのに
操作できていると錯覚してしまうところだろう。
解き放ったときの波への密着性、
特に精密な方向感覚を持つ、
スーパーサーフボードに乗れる日も近い。
スーパーサーフボードというのは、
乗り手に畏敬と欲望、
憧憬と野心を抱かせるフォルムも重要で、
そんなサーフボードに乗る日も近くなってきた夏の週末。
これぞまさにショートボードに乗りたい波質であります。
スリルなる納涼サーフができる季節に乾杯。
グビグビー!
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