この夏に完成したサーフボードに頻繁に乗っている。
64(シックス・フォー)という長さなのでcmに換算すると、
193cmくらいだろうか。
先日ここで、
この64にマジックボードNo1という称号を与えると、
少なからず反響があった。
なぜならば、
最近のマジックボードの1番ではなく、
このサーフ人生39年でトップのボードと認定したからだ。
とは言っても、
あくまでもこれは主観によってだ。
他のマジックボードとくらべて、
どこがどういいのかは明確には言えない。
サーフィンというのはそういうものだ。
とにかく足に付いてきて、
突然のバックウォッシュですら吸収してしまう。
テイクオフのときは、
私ではなく、
64自身が滑りたいのかと錯覚するほど揚力が満ちる。
このありがたい揚力こそが、
ボトム・コントゥアーの妙だと仮説を立ててみると、
「エントリー・エリアからテイルに抜ける水流が適切なんです」
前田博士はこともなげに言った。
とにかく64と短いのに、
グライドの速度が付きすぎるので、
「(自身の体勢を)低く、低く」
念仏のように唱えながら波に乗っている。
台風や、
低気圧通過時に波は姿を変える。
たいていは大きくなり、
そして海の威力を水の力に変えて伝えてくる。
これを”本気日”と呼ぶサーファーも多いだろう。
これまでこの日に向けて鍛錬してきた。
その本番舞台用のボードはこれまで68(上記画像)だった。
斜面が切り立ちすぎると、
レイルラインの限界を感じるようになった。
パイプラインを滑るジェイミー・オブライエンやジョンジョン、
セス・モニーツやロボ(ジャック・ロビンソン)のように短くすることで、
より波の上での接水を効かせようと、
具体的には短くしたかった。
そこで前田博士に相談すると、
「(68と)同じアウトラインと
コンセプトで4インチ短くしましょう!」
そんなことになった。
どうして4インチなのかと聞いてみると、
全長を10cm短くすることで、
私の身長との密接度が高まるというものだった。
サーフボードは、
掘れる(突然切り立つ)波には短く、
押す重い波なら長くするのがセオリーだ。
今回の狙いは前述したように台風の「掘れ系」なので、
短くしてフィンの効きを上げ、
接水効果をアップしたのがこのサーフボードだ。
Tyler Warren “One Off 2+1”
TYLER WARREN / 2+1
(ワンオフ)
7’2″ x 20 1/8″ x 2 5/8″
.
振り返ると、
この原型(オリジナル)はタイラー・ウォーレンが作ってくれた名作2+1だ。
最初に68、
72と続き、
全長が長くなっていった。
この72は長いスロープの波に持ち出し、
土管(掘れ)系には68だった。
ただ普通巻きだったので、
波先のインパクトを受けると折れてしまうと感じていた。
そこで前田博士にお願いして、
68を超耐久性の同サイズで再制作していただいた。
この三本の究極系(2+1)について、
いろいろわかってきたので、
そのことを博士にインプットすると、
しっかりとエッセンスとフォルムが反映させられていた。
私が感じたすべての利点と魅力、
そして作り手である前田博士の英知と理論、
匠のすべてがこのサーフボードとなって結実したのだ。
フィンセッティングもいじった。
これまでは2+1とシングルフィン・スロットがメインだったが、
“大は小を兼ねる方式”
でツイン専用にした。
下が原型となった68。
シングル・スロットが映っている。
.
ツインでもラインは、
ミニマムに封じ込めることができる。
ボードの回転性というのは、
浮力も含めたサーフボードのデザインとフィンの関係で決まる。
シングルフィン系のミニマル・ラインにしたければ、
自身で加重を抑え込むだけで可能となるからだ。
なぜミニマルを選択するかというと、
意思のあるロング・ライディングをしたいからに他ならない。
シングルフィンに乗ると、
波へのアプローチが限定的となる。
それを利用して、
滑走ラインを最小化(ミニマル)すれば、
ワイプアウトが激減するので、
それはロングライドと直結しているのでこう書いた。
本題からそれたので話を戻そう。
前田博士の東浪見研究所(EVOLVE FUTURE SHAPE)で、
この64を受け取り、
湘南へ出発する日まで台風または低気圧の到来を待ったが、
それはかなわず、
NAKISURFのナカガワと一緒にエックスで初乗りとなった。
すると一本目から私はひさしぶりの感覚が訪れた。
このことを直感的な文をタイプしてみると、
「噴出する原理と情熱」
こんな気分だった。
重力が速く、
鋭く動き、
それは深い親密なものにも感じた。
小波なのに、
ここまでの愉楽を味わえるとは、
サーフィンはやはりおもしろい。
そんな初志以来の原始テーマが、
熱くたぎるような温度感覚と共に戻ってきたのだ。
それからというもの、
あちらこちらへと持ち出し、
Photo by Masayuki T.
(冒頭のフレームグラブ画像も)
.
サーファーズ岬でも、
室戸波でも、
またはオンショアのタコラ・シスターズで、
自身では究極とも言えるボトムターンを結ぶことができた。
サーフィンは、
テクニックではないと公言している。
よって、
これを補足しなくてはならない。
テクニックではない。
けれど、
たったひとつのターンの達成によって、
我が心はここまで見事に晴れやかに拡がっていくものだと気づいた。
そんなことがあふれ出てきた。
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【巻末リンク:64を受けとった日】
【巻末リンク*2:原型の由来日】
【サーフィン研究所特大号】タイラー・ウォーレンの理想ボードとは?_NAKISURF別注7’6″世界唯一2+1ハイスペックのご紹介!!_(3212文字)
【巻末リンク*3:サーファーズ岬】
Happy Surfing and Happy Lifestyles!!
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The post 【サーフィン研究所渾身号】生涯マジックボードNo.1の64生誕記_(2296文字) first appeared on naki's blog | NAKISURF.COM ナキサーフボードカリフォルニア.